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スタッフブログ

2021年11月13日 スタッフブログ

時代とともに進化する救急救命士(2)

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2021年10月1日付けで、改正救急救命士法が施行されました。これまで救急救命士は[救急現場から病院まで]の間でしか救急救命処置を実施できませんでしたが、改正救急救命士法の施行により[救急現場から傷病者(患者様)が入院もしくは帰宅するまで]の間において救急救命処置を実施することが可能となりました。つまり、医療機関の中で救急救命士としての業務が可能となったのです。
1年半ほど前に、「時代とともに進化する救急救命士」という題名で当院の救急救命士の歴史や、取り組みについて書きました。その続きとして、医療機関所属の救急救命士への変化や改正救急救命士法の施行を迎えた今日までの取り組み、これからの展望などを個人的な考えも含めて書いていきたいと思います。
この記事では、第2弾として【医療機関所属の救急救命士への変化】について個人的な体験や考えを交えて書いています。

医療機関所属の救急救命士へのスポットライト

前回の記事でも触れましたが、当院の救急救命士の歴史は古く2006年から採用されています。当時は医療機関で働く救急救命士は全国的にもほんの一握りしかおらず、その認知度はほとんどありませんでした。
当院の救急救命士が、法改正されることを想定して医療機関内での業務確立に向けて動き出したのは2013年頃ですが、実際に独立部署として立ち上がったのは2015年とつい6年ほど前のことです。当時から救急救命士法の改正に関する[うわさ]は多少ありましたが、本格的に議論が始まったのは2018年の厚生労働省「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」からです。議論の開始は、これまで日陰に広がっていた医療機関の救急救命士に、世の中から一つスポットライトを当てられた瞬間だったのかもしれません。

医療機関に所属する救急救命士の広がりを実感

2017年に医療機関内で救急救命士が提供する質の担保を目的として「病院前救護統括体制認定機構(現 民間救命士統括体制認定機構)」が立ち上げられました。当院の救急救命士も第1回から参加し、複数名が民間認定救急救命士の資格を取得しました。医療機関に所属する救急救命士であっても当然遵守しなければいけない法律やメディカルコントロール体制の在り方など、業務する上で必要な知識を、【医療機関に所属する救急救命士に向けて提供】する機関が誕生したという大きな変化でした。
機構が主催する会で講演をさせていただい際には、救急救命士の方々と貴重な意見交換をすることができました。それぞれの救急救命士が所属する医療機関のニーズを捉えて様々な業務形態や役割を担っていることを知り、「所属する医療機関」という一つの世界で独立部署や業務確立に奮闘してきた筆者にとっては衝撃的でした。それは、医療機関所属の救急救命士の全国的な広がりを実感し、もはや一つの医療機関だけで完成像を作り上げるのではなく、活躍の場(所属)に関係なく「医療機関の救急救命士」として共通の認識や体制が必要ではないかと強く感じたからです。

医療機関の職種への仲間入りを感じた

2019年頃から医師の働き方改革の議論が本格化し、救急救命士へのタスクシフト・タスクシェアが話題となりました。そんなときに第22回日本救急看護学会学術集会(2020年)のシンポジウム『救急領域におけるタスクシフト・タスクシェアを考える』で医療機関の救急救命士としての立場でシンポジストとして、これまでの取り組みや「医療機関の救急救命士として共通の認識や体制の必要性」について講演をさせていただきました。それぞれの先生方の講演では医師の働き方改革で救急領域の役割がどのように変わるのか、新たな役割をどのように担うべきなのかなど、具体的な方向性が示されていました。その中で、救急救命士がどのように関わっていくべきなのか、何を担うべきなのかについて「迷い」を感じる部分もありました。それは、多くの医療機関で当院の救急救命士業務は通用しないのではないかと感じたからです。やはり「それぞれの医療機関で、救急救命士に求められるものは違ってくる」ということを目の当たりにしました。今回の経験は、課題が増えた一方で医療機関内の救急領域において【医師・看護師・救急救命士】が協働することが世の中に認められ、医療機関内の職種としての本格的な仲間入りを感じることができました。

医療機関所属の救急救命士への変化

当院で医療機関に所属する救急救命士が誕生して15年。「医療知識のある看護助手が欲しい」とう観点から採用が始まりましたが、今では救急領域を担う中心的存在となりました。ですが、これはあくまでも【当院の救急救命士】であると考えています。
多くの救急救命士たちが、自ら所属する医療機関の体制やニーズに合った業務を確立してきました。ですが、これからは様々な規模や体制、ニーズを持った医療機関で多くの救急救命士が活躍する時代になります。一つの医療機関でしか成立しない体制ではなく、様々な医療機関で活用できる一定の共通した業務や教育体制を構築していく必要があります。
時代とともに変化した救急救命士への認識は、さらなる進化のために自分たちの認識も変えるきっかけとならなければいけないのかもしれません。

この記事を書いた人

神戸徳洲会病院 救急救命士科 責任者 秋田健太郎

  • TEL078-707-1110